
ようやく完成した、こだわりの詰まったホームページ。しかし、本当のスタートはここからです。
前回の講座では成果を生むデザインの重要性について解説しましたが、どれだけ素晴らしいホームページを作っても、誰にも見てもらえなければ存在しないのと同じです。それはまるで「無人島に立派なお店を建てた」ような状態だと言えるでしょう。
ホームページを完成させて満足するのではなく、未来のお客さまにその存在を知らせ、見つけてもらうための工夫を施してこそ、初めてお問い合わせや売上につながっていきます。
この記事では、あなたのホームページを見つけてもらうための基本的な考え方と、具体的な方法を分かりやすく解説します。
【この記事で分かること】
ホームページを「無人島のお店」にしないために、WEB集客の基本となるSEOの考え方から、即効性のある集客方法まで、その全体像が理解できます。
- 検索エンジンにホームページを正しく認識させるための方法
- 検索結果でクリックされやすくなるタイトルと説明文の作り方
- SNSやWEB広告を活用して、短期的にアクセスを集める方法
- ホームページの現状を分析し、継続的に改善していくことの重要性
ホームページを「WEB上の優秀な営業マン」に育てていくための第一歩を、一緒に学んでいきましょう。
ホームページの存在を検索エンジンに正しく伝える

作ったばかりのホームページは、まだ誰にも知られていない状態です。
まずは、未来のお客さまが情報収集の際に最も利用する「検索エンジン」に、あなたのホームページの存在をきちんと知らせることから始めましょう。
ここでは、検索エンジン(GoogleやYahoo!)経由での集客、すなわち「SEO」の基本的な考え方について解説していきます。
検索エンジン最適化(SEO)の基本概念

SEOとは何か?
SEOとは “Search Engine Optimization” の略で、日本語では「検索エンジン最適化」と訳されます。少し難しく聞こえるかもしれませんが、ひと言でいえば「Googleなどの検索エンジンで、自社のホームページを見つけてもらいやすくするための工夫」全般を指します。
この工夫の根底にある最も大切な考え方が、「ユーザーファースト」です。
これは、ホームページを訪れるお客さまにとって、有益で分かりやすい情報を提供することを第一に考える、という意味になります。
最近では、AI(人工知能)の進化によって、検索の世界も大きく変わりつつあります。
AIO(AI最適化)といった新しい言葉も生まれていますが、難しく考える必要はありません。重要なのは、AIがどれだけ進化しても、検索エンジンが目指すゴールは「検索した人の疑問や悩みに最も的確に答える情報を提供する」ことだという点です。
ですから、小手先のテクニックではなく、お客さまの役に立つ良質な情報を提供することこそが、結果的に検索エンジンからの高い評価に繋がるのです。この「ユーザーファースト」の姿勢は、今後さらに重要になっていくと言えるでしょう。
なおSEOの基礎知識は、「自分で始めるSEO講座【基礎編】」で詳しく解説しています。ここでは、ざっくりとした概要を掴んでいただければ幸いです。
SEOで目指す3つの目標

SEO対策を行うことで、具体的に以下の3つの状態を目指します。
- より検索回数が多いキーワードで表示される
お客さまがよく使う言葉(キーワード)で検索された時に、あなたのホームページが表示されることを目指します。
- より多くの種類のキーワードで表示される
1つのキーワードだけでなく、関連する様々なキーワードで表示されることで、より多くのお客さまにホームページを見てもらう機会が増えます。
- より高い順位で検索結果に表示される
検索結果の1ページ目、それもできるだけ上の方に表示されることが非常に重要です。ほとんどの人は、検索結果の2ページ目以降を見ることがないためです。
低コストで長期的な資産を築くなら「コンテンツSEO」が最適
「コンテンツSEO」とは、読者にとって価値のある記事(コンテンツ)をホームページで継続的に発信し、それを検索エンジンに評価してもらうことで、検索結果の上位表示を目指す手法です。例えば、お役立ち情報を紹介するブログ記事や、専門的なノウハウを解説するコラムなどがこれにあたります。
コンテンツSEOは、効果を実感できるまでに数ヶ月から1年ほど時間がかかる場合もあります。しかし、一度作成したコンテンツが検索結果の上位に表示されるようになれば、広告費を払い続けなくても、安定してお客さまを呼び込み続けることが可能です。
「有料のWEB広告」が、効果は早いものの費用がかかり続ける「短期的な集客手段」だとすれば、コンテンツSEOは、時間はかかるものの低コストで企業のホームページに資産(良質なコンテンツ)が蓄積されていく「長期的な集客の土台作り」と言えるでしょう。
はじめの一歩は、Googleへの登録から

SEOの第一歩として、まずはGoogleが無料で提供している2つのツールに必ず登録しましょう。これは、いわばインターネットの世界における「開店届」のようなものです。
「Google Search Console(グーグル サーチコンソール)」の登録
これは、あなたのホームページの存在をGoogleに伝え、検索結果に表示してもらうための必須ツールです。このツールに登録することで、Googleのロボット(クローラー)があなたのホームページを見つけに来てくれるようになります。
また、お客さまがどのようなキーワードで検索して訪れたか、検索結果の何番目に表示されたか、といったデータを確認したり、サイトに問題がないかをチェックしたりすることも無料でできます。
「Googleビジネスプロフィール」で地域集客を強化

もし、あなたが実店舗を構えている、あるいは営業エリアが特定の地域に限られるビジネス(例えば、市内の工務店やサロンなど)をされているなら、「Googleビジネスプロフィール」への登録は絶対に欠かせません。
登録すると、Googleマップ上にお店の情報を表示させることができます。
例えば、お客さまが「渋谷 整体」のように「地名+サービス名」で検索した際に、地図と一緒にあなたのお店の情報をアピールできるため、地域に根ざしたビジネスの集客に絶大な効果を発揮します。
検索エンジンと訪問者に好かれるページ作り

ホームページをGoogleに認識してもらったら、次のステップは、数ある競合サイトの中から「あなたのホームページが選ばれる」ための工夫です。
ここでは、検索エンジンとホームページを訪れるお客さまの両方に「このページは役に立つ!」と感じてもらうための、2つの重要なポイントについて解説します。
検索結果でクリックを呼ぶ「タイトル」と「説明文」

お客さまがGoogleで検索した時、あなたのホームページはどのように表示されるでしょうか。検索結果の画面に表示される「タイトル」と「説明文」は、いわばお店の「看板」や本の「表紙」のようなものです。
これが魅力的でなければ、お客さまはクリックして中身を見てはくれません。
タイトル(Titleタグ)と説明文(メタディスクリプション)の重要性
- タイトル(Titleタグ)
検索結果で表示される、青い文字のクリックできる見出し部分です。
- 説明文(メタディスクリプション)
タイトルの下に表示される、ページの概要を説明した文章です。
この2つを適切に設定することは、検索順位を上げ、クリック率を高める上で非常に重要です。具体例で見てみましょう。杉並区でパン屋さんを営んでいる場合です。
【悪い例】
タイトル:トップページ – ABCパン工房
説明文:ABCパン工房の公式ホームページです。新商品情報などをお届けします。
【良い例】
タイトル:天然酵母パン専門店 ABCパン工房|東京・杉並区
説明文:杉並区にある天然酵母パンのお店です。国産小麦100%のサワードウが人気。毎日の食卓を豊かにする美味しいパンをお届けします。
いかがでしょうか。良い例の方が、どんなお店で、どこにあって、どんな魅力があるのかが一目で伝わりますよね。
地域のキーワードを活用する
もしあなたのお店やサービスの対象エリアが限られているなら、良い例のように「杉並区」といった地名キーワードをタイトルや説明文に含めることは非常に効果的です。
これにより、「杉並区 パン屋」のように地域名で検索している、購買意欲の高いお客さまに見つけてもらいやすくなります。
お客さまを迷わせない「内部リンク」の張り方

無事にホームページをクリックしてもらえたら、次はお客さまに1ページだけでなく、サイト内の様々なページを快適に見てもらう工夫が必要です。そこで重要になるのが「内部リンク」です。
内部リンクの役割
内部リンクとは、自分のホームページ内のページ同士を繋ぐリンクのことです。
例えば、スーパーで買い物をしている時に「こちらの鶏肉におすすめのハーブソルトはこちらです」と案内書きがあれば、つい見てしまいますよね。内部リンクは、これと同じ役割を果たします。
ブログで商品のこだわりを紹介する記事を書いていたら、その商品を購入できるページへのリンクを貼る。サービスの紹介ページから、詳しい料金ページへリンクを貼る。
このように、関連するページへスムーズに案内することで、お客さまはサイトから離脱しにくくなり、より深くあなたのビジネスについて知ってくれるのです。
内部リンクはSEO効果も高める
この分かりやすい道案内は、お客さまだけでなく、Googleのロボット(クローラー)にとっても有効です。
サイト内に内部リンクを適切に張り巡らせることで、Googleのロボットは「このサイトは情報が整理されていて分かりやすいな」「このページとこのページは関連性が高い重要なページなんだな」と判断してくれます。
その結果、サイト全体の評価が高まり、検索順位の向上にもつながっていくのです。
検索以外から新規のお客さまを呼び込む方法

これまで解説してきたSEOは、時間をかけてじっくりと集客の土台を固める戦略です。しかし、時にはもっとスピーディに、積極的に情報を届けたい場面もありますよね。
ここでは、検索エンジン以外からホームページへのアクセスを増やす方法をいくつかご紹介します。これらは即効性が期待できるため、SEOと組み合わせることで、集客の幅が大きく広がります。
SNSやブログでの情報発信
SNS活用のメリットと使い分け
FacebookやX(旧Twitter)、InstagramといったSNSは、情報の拡散スピードが非常に速いのが特徴です。有益な情報や魅力的な投稿が、時に「バズる(情報が爆発的に拡散されること)」ことで、一夜にして数万、数十万の人に存在を知ってもらえる可能性も秘めています。
特に、個人のお客さまを相手にするビジネス(飲食店、サロン、小売店など)との相性が良い傾向にあります。
写真や動画がメイン。見た目が重要な商品・サービス(料理、ファッション、デザインなど)に向いています。
即時性が高く、情報の拡散が得意。キャンペーンの告知や、日々のちょっとした情報発信に向いています。
実名登録が基本のため、信頼性が高いのが特徴。地域に根差したお店が、お客さまとの交流を深める場として活用するのに向いています。
大切なのは、SNSで終わりにするのではなく、投稿にホームページへのリンクを添えて、最終的なゴール(予約、購入など)に繋げることです。
ブログでアクセスを増やす

ホームページ内にブログを設置し、お客さまの役に立つ情報を発信することも、非常に有効な集客手段です。
ホームページ本体が「お店」だとすれば、ブログは「お客さまを呼び込むための、お役立ち情報満載の雑誌」のようなものです。
例えば、パン屋さんなら「美味しいパンの保存方法」、工務店なら「失敗しないリフォーム会社の選び方」といった記事を作成します。すると、その情報を求めて検索した人がブログに訪れ、あなたのビジネスに興味を持つきっかけになるのです。
また、ブログ記事が増えれば、それだけ検索されるキーワードの数も増え、ホームページ全体のSEO評価を高めることにも繋がります。
メールマガジン(メルマガ)の活用

メールマガジンは、一度接点を持ったお客さまに対して、こちらから能動的に情報を届けられる「アウトバウンド型」の施策です。
お店で連絡先を書いてもらったり、ホームページから登録してもらったりしたリストに対して、新商品のお知らせやセール情報、イベントの案内などを直接送ります。
SNSのように情報が流れてしまうことがなく、伝えたい情報を確実に届けられるのが強みです。
特に、セミナーや期間限定イベントなど、短期的に人を集めたい場合に大きな効果を発揮します。
簡単なWEB広告活用の考え方

WEB広告の魅力
「とにかく早く、確実にお客さまをホームページに呼びたい!」という場合に最も効果的なのが、有料のWEB広告です。
SEOは効果が出るまでに時間がかかりますが、WEB広告は料金を支払えば、最短でその日のうちに検索結果の一番目立つ場所などに表示させ、アクセスを集めることができます。
例えるなら、時間をかけて口コミを広げるのがSEO、お金を払って一等地に看板を出すのがWEB広告です。
広告の種類とコストの考え方
WEB広告で最も代表的なのが、「リスティング広告(検索連動型広告)」です。
これは、お客さまが特定のキーワードで検索した際に、検索結果の上部に表示される広告のことです。
もちろん広告には料金がかかりますが、テレビCMのように何百万円も必要というわけではありません。
- 1日あたりの上限予算を自由に設定できる(例:1日1,000円など)
- クリックされた時だけ料金が発生する形式が主流
といった特徴があるため、まずは月1万円といった少額から試すことができます。
大切なのは、広告を「出しっぱなし」にしないことです。かけた費用に対して、どれだけお問い合わせや売上に繋がったか(費用対効果)をきちんと確認しながら、改善を続けていくことで、WEB広告はビジネスを加速させる力強い味方になります。
アクセス状況の確認と改善の継続

ホームページの公開は、お店に例えるなら「開店日」を迎えた、という段階です。しかし、本当の勝負は開店してから始まります。
お客さまに何度も足を運んでもらい、愛されるお店にするためには、日々の運営が欠かせません。この章では、ホームページを公開した後の「継続的な運用」という、非常に重要な考え方について解説します。繁盛店が必ず行っている「現状の把握」と「新しい魅力の提供」、この2つが大きな柱となります。
アクセス解析ツールで現状を把握する
まずはお店の「客入り」や「人気商品」を、数字データから正確に把握することから始めます。
Googleアナリティクス(GA4)の活用

Googleが無料で提供する「Googleアナリティクス」というツールを使えば、ホームページの健康診断ができます。これは、いわば**WEBサイト専門の「高機能な監視カメラ」**のようなものです。
このツールで、以下のようなことが分かります。
- 全部で何人のお客さまが訪問したか?
- どのページが一番よく見られているか?
- お客さまはどのページで見るのをやめて帰ってしまったか?
これらのデータを分析することで、「サービス紹介ページは人気だけど、お問い合わせに繋がっていないな…なぜだろう?」といった、改善点のヒント(課題の仮説)を見つけることができます。
改善点を探る
データを見て課題の仮説を立てたら、次はその原因を探ります。
「もしかしたら、料金体系が分かりにくいのかもしれない」「スマートフォンの画面だと、お問い合わせボタンが見つけにくいのかも」といった原因を考え、ページの構成や文章を修正していくのです。
この「現状把握 → 仮説 → 改善」のサイクルを回し続けることが、ホームページを成長させる鍵となります。
リピーターと新規顧客を呼ぶ「質」と「鮮度」

コンテンツの「量」と「質」の強化
お客さまが何度も足を運びたくなるお店には、魅力的で豊富な品揃えがありますよね。ホームページにおける「品揃え」が、「コンテンツ(掲載されている情報)」です。
お客さまの役に立つ、面白いと感じるコンテンツが豊富にあれば、自然とアクセス数は増えていきます。
ここで言う質の高いコンテンツとは、単に綺麗な文章のことではありません。
あなた自身の専門知識や長年の経験に基づいた、他では得られないオリジナリティ(独自性)のある情報のことです。あなたの言葉で語られる専門的な情報こそ、お客さまが最も価値を感じる部分なのです。
情報量が多ければ、「また後でじっくり読みに来よう」と再訪問のきっかけになり、リピーター獲得にも繋がります。
定期的な更新とスマホ対応の徹底

何年も店先のディスプレイが変わっていないお店には、少し入りにくいですよね。
ホームページも同じで、更新が止まっていると「この会社は今も活動しているのかな?」とお客さまに不安を与え、信頼を失ってしまいます。
定期的にお知らせやブログを更新し、常に新鮮な情報を発信することが、リピーターを飽きさせず、検索エンジンからの評価を維持・向上させる秘訣です。
そして、今やほとんどの人がスマートフォンで情報を探す時代です。ホームページがスマホ表示に対応していること(モバイルフレンドリー)は、もはや絶対条件と言えます。
スマホで見た時に文字が小さすぎたり、ボタンが押しにくかったりすると、お客さまはすぐにページを閉じてしまいます。これは非常にもったいない機会損失ですので、必ず対応しておきましょう。
【まとめ】ホームページはコツコツと育てていくもの

ホームページは、完成がゴールではなく、公開してからが本当のスタートです。ビジネスの成長に合わせて、ホームページをコツコツと育てていく意識を持ちましょう。
まずはSEOの基本を押さえ、あなた自身の専門知識を活かした質の高いコンテンツを軸に、SNSやWEB広告も有効活用します。
そして、必ずアクセス解析で結果を確かめ、改善を繰り返すこと。この地道な積み重ねが、やがてあなたのホームページを強力な営業マンに変え、大きな成果へと繋がります。
やる前からあまり難しく考えすぎず、まずはできることから始めてみましょう。
さて、次回は「集客を意識したWEBライティング入門」と題して、お客さまにとって価値のあるページを作るコツを解説していきます。初心者でもすぐに実践できるWEBライティングの基礎を身につけて、これから始まるホームページ制作に活かしましょう。
次回の講座はこちら

第9回:集客を意識したWEBライティング入門
本記事では、「未来のお客様」をあなたのサイトに呼び込むための文章の書き方とコンテンツ作成の基本を学べます。価値あるページを作るコツを習得しましょう。