
PC用に作成されたホームページをスマホで閲覧すると、画面全体が縮小表示されるため、ユーザーにとって非常に使いにくい状態になります。
文字やボタンが小さすぎて操作が難しく、拡大や縮小を繰り返す手間が発生するため、多くの訪問者がストレスを感じてサイトから離脱してしまうのです。
現在ではWEBアクセスの過半数がスマホからとなっており、スマホ表示への対応は避けて通れません。本記事では、PCサイトをスマホで表示した際に生じる具体的な問題点と、その解決策について解説していきます。
画面サイズが小さい

スマホの画面はPCのモニターと比較して物理的に小さく、特に横幅が狭いという特徴があります。
PCサイトは横長の広い画面を前提にレイアウトが組まれているため、スマホの縦長で狭い画面にそのまま表示させると、全体がギュッと凝縮されたような見た目になります。
結果として、コンテンツの一つひとつが極端に小さく表示され、何が書かれているのかを一目で判別することが困難になるのです。情報を得るために画面を指でピンチアウトして拡大しなければならず、閲覧者に多大なストレスを与える要因となります。
文字が小さい

PCサイトでの標準的な文字サイズは、スマホの画面で縮小表示されると、読むことが困難なほど小さくなってしまいます。ユーザーは文章を読むたびに画面を拡大し、読み進めるにつれて上下左右にスクロールを繰り返さなければなりません。
このような操作は非常に手間がかかるため、訪問者は「読むのが面倒だ」と感じ、すぐにそのページを閉じてしまう傾向にあります。
情報を正しく伝えるためには、スマホの画面幅でも読みやすい適切なフォントサイズに自動で調整される仕組みが必要です。
リンクを押しにくい

PCサイトはマウスカーソルでの操作を前提に設計されており、リンクやボタンの間隔が狭くてもクリックすることが可能です。
しかし、スマホは指でタッチして操作するため、マウスほどの精密な動きはできません。
リンク同士の距離が近すぎると、目的のリンクではない隣のボタンを誤って押してしまう「誤タップ」が頻発します。
意図しないページに遷移することはユーザーにとって大きなストレスであり、サイトの使い勝手を著しく低下させる原因となります。指でも押しやすい十分な大きさと間隔を確保したボタンデザインが求められます。
文字入力がしにくい

お問い合わせフォームや検索窓などの入力エリアがPC向けのサイズのままだと、スマホでは小さすぎてタップしづらく、入力操作が非常に困難になります。
入力欄を選択するために画面を拡大し、文字を入力した後、次の項目へ入力するためにまた画面を移動させるといった煩わしい操作が必要です。
特にお問い合わせフォームでの入力のしにくさは、見込み客が連絡を諦める直接的な原因となり、ビジネスチャンスの損失に直結します。スマホの画面幅に合わせた入力フォームの最適化は、コンバージョン率を維持するために欠かせません。
文字量が多い

PCの大画面では適切な情報量に見える文章でも、スマホの狭い画面に詰め込まれると、文字ばかりが密集しているような圧迫感を与えてしまいます。
画面いっぱいに文字が並ぶと、ユーザーは「読むのが大変そうだ」という印象を持ち、内容を読み飛ばしたり、ページを離脱したりする可能性が高まります。
スマホでの閲覧を考慮する場合、適度な改行を入れる、箇条書きを活用する、あるいは余白を十分に取るといった工夫が必要です。情報を整理し、スクロールしても負担なく読める構成を意識することが求められます。
画像が大きい

PCサイトで使用されているサイズの大きな画像は、スマホの画面では縮小されて細部が潰れてしまったり、逆にはみ出してレイアウトが崩れたりすることがあります。
また、横長の画像はスマホの縦長画面では非常に小さく表示されるため、画像内の文字や図解が判読できなくなるケースも少なくありません。画像が何を伝えているのかわからなければ、その画像の価値は失われてしまいます。
スマホ表示においては、画像を縦並びに配置し直す、あるいはスマホ専用のトリミングを行った画像を用意するなど、視認性を確保するための調整が必要です。
表示が遅い

PCサイトは一般的に光回線やWi-Fi環境での閲覧を想定しているため、データ容量が大きくてもスムーズに表示されます。しかし、スマホは移動中など通信環境が不安定な場所で利用されることも多く、PC用の大容量データを読み込むには時間がかかります。
ページの表示に3秒以上かかると、半数以上のユーザーが離脱するというデータもあるほど、表示速度は重要です。
PC用の重い画像やスクリプトをそのままスマホで読み込ませることは、ユーザー体験を損なうだけでなく、SEOの観点からもマイナス評価を受ける要因となります。
表示速度とユーザー心理
WEBマーケティングの現場では「1秒の遅れが命取り」と言われます。ユーザーは知りたい情報を「今すぐ」得たいと考えており、待たされることを極端に嫌います。
特にスマホユーザーは隙間時間にアクセスすることが多いため、表示速度の改善はコンテンツの質と同じくらい優先すべき課題です。
ホームページをスマホ表示に対応させる重要性

現代のビジネスにおいて、ホームページのスマホ対応は単なるオプションではなく、必須の要件となっています。多くのユーザーが情報収集の手段としてスマホをメインに使用しており、スマホで見にくいサイトはそれだけで競合他社に顧客を奪われるリスクとなります。
ここでは、スマホ対応がなぜ経営に直結する重要な課題なのか、ユーザー行動と検索エンジンの評価という2つの側面から解説します。
スマホユーザーの増加と離脱率の改善
総務省の調査などでも明らかなように、インターネット利用端末としてスマホの利用率はPCを上回っています。BtoCビジネスはもちろん、BtoBビジネスにおいても担当者がスマホでリサーチを行うケースは増えており、スマホ非対応であることは多くの機会損失を招きます。
見づらいサイトが表示された瞬間、ユーザーは「戻る」ボタンを押して他のサイトへ移動してしまいます。スマホに対応し、快適な閲覧環境を提供することは、直帰率を下げ、サイト内の回遊率を高めるための最も基本的な施策といえます。
Google検索順位(SEO)への影響
検索エンジン最大手のGoogleは、WEBサイトの評価基準をPCサイトからスマホサイトへ移行する「モバイルファーストインデックス(MFI)」を導入しています。
これは、スマホ対応していないサイトは検索順位が上がりにくくなることを意味します。
検索結果で上位に表示されなければ、そもそもホームページを見てもらうことすらできません。
SEO対策の一環としても、スマホで見やすく使いやすいサイト構造にすることは、集客を成功させるための必須条件となっています。
パソコンでホームページのスマホ表示を確認する方法

自社のホームページがスマホでどのように表示されているかを確認するために、必ずしも手元にスマホを用意する必要はありません。PCのブラウザに標準搭載されている機能を使えば、擬似的にスマホでの表示状態をチェックすることが可能です。
ここでは、最も利用者が多いブラウザであるGoogleChromeを使用した確認手順をご紹介します。制作会社へ修正指示を出す際などにも役立つため、覚えておくと便利です。
Google Chromeの検証機能(デベロッパーツール)を使う手順
Google Chromeで自社のホームページを開き、キーボードの「F12」キーを押すか、ページ上の何もないところで右クリックをして「検証」を選択してください。
画面の右側または下側に、ソースコードなどが書かれたパネル(デベロッパーツール)が表示されます。
そのパネルの左上にある「スマホとタブレットのアイコン」をクリックすると、WEBページの表示エリアがスマホの画面サイズに切り替わります。
画面上部のメニューから「iPhone」や「Pixel」などの機種を選択すれば、特定の端末での見え方をシミュレーションすることも可能です。
ホームページをスマホ対応にする主な方法

ここでは、代表的な3つのスマホ対応方法について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを交えて解説します。
レスポンシブデザイン(推奨)
レスポンシブデザインとは、PC用とスマホ用で同じHTMLファイルを使用し、閲覧する端末の画面幅に応じてCSSで表示レイアウトを自動的に切り替える手法です。
ひとつのファイルを管理するだけで済むため、更新作業の効率が良く、内容の不一致も起こりません。
Googleが公式に推奨している方法であり、現在のWEB制作におけるスタンダードとなっています。URLもPCとスマホで統一されるため、SNSでのシェアやSEO評価の分散を防げるという利点があります。
レスポンシブデザインのメリット
最大のメリットは、運用管理の手間が大幅に削減できる点です。PCサイトを更新すれば自動的にスマホ表示も更新されるため、修正漏れのリスクがありません。
また、Googleは「同一のURLでコンテンツを提供する」ことを評価するため、SEOの観点からも有利に働きます。
さらに、将来的に新しい画面サイズの端末が登場しても、CSSの調整だけで対応しやすいという柔軟性も持っています。長期的な運用を考えるなら、最もコストパフォーマンスに優れた選択肢といえます。
レスポンシブデザインのデメリット
一方、デメリットとしては、構築時の設計が複雑になりやすい点が挙げられます。
PCとスマホの両方で矛盾なく表示されるようにコーディングを行う必要があり、制作には専門的な知識と技術が求められます。
また、PC向けの大容量のHTMLや画像をスマホでも読み込む構造になるため、最適化を行わないと表示速度が遅くなる可能性があります。PCとスマホで全く異なるデザインや構成にしたい場合には、制約が大きく不向きなケースもあります。
レスポンシブが選ばれる理由
かつてはPCとスマホで別々のサイトを作ることもありましたが、現在は管理コストとSEOの観点からレスポンシブデザイン一択と言っても過言ではありません。複数のURLを管理するのは非常に手間がかかり、情報の鮮度を保つのが難しくなるからです。
スマホ専用サイトの作成
PCサイトとは別に、スマホ専用のHTMLファイルを作成し、アクセスしてきた端末に応じて表示するサイト(URL)を振り分ける方法です。スマホに特化したデザインや機能を自由に実装できるため、アプリのような操作性を持たせることも可能です。
しかし、PC用とスマホ用の2つのサイトを別々に更新・管理する必要があり、運用コストが2倍になるという大きなデメリットがあります。また、URLが異なる場合、SEOの評価が分散しないように適切な設定を行う必要があります。
WordPressのテーマやプラグインの活用
WordPressなどのCMS(コンテンツ管理システム)を利用している場合、スマホ対応は比較的容易に行えます。
現在配布されている多くの「テーマ(テンプレート)」は標準でレスポンシブデザインに対応しており、テーマを適用するだけでスマホ表示が整います。
また、既存のテーマが対応していない場合でも、スマホ表示に対応させるための「プラグイン」を導入することで、手軽にモバイルフレンドリーなサイトへ変換することが可能です。
専門的な知識がなくても対応できる点が魅力です。
スマホ対応の変換ツールを使用する
既存のPCサイトのURLを入力するだけで、自動的にスマホ対応のページを生成してくれる変換ツールやサービスも存在します。サイトのリニューアルを行わずに、手っ取り早くスマホ表示に対応させたい場合に利用されます。
導入が簡単で初期費用を抑えられる場合が多いですが、デザインの自由度が低かったり、月額利用料が発生したりすることがあります。
あくまで一時的な対応や、簡易的なスマホ対応として利用されるケースが多く、根本的な解決策としてはレスポンシブデザインへの移行が推奨されます。
制作会社へ依頼する(外注)
社内にWEB制作の専門知識を持つスタッフがいない場合、制作会社へ依頼するのが最も確実で品質の高い方法です。
プロに任せることで、単に表示を整えるだけでなく、ユーザーの使いやすさ(UI/UX)やSEOを考慮した設計が可能になります。費用はかかりますが、自社で試行錯誤する時間や、誤った設定による機会損失のリスクを考えれば、投資対効果は高いといえます。
依頼する際は「レスポンシブデザインでの対応」を前提に相談することをお勧めします。
スマホ対応(レスポンシブデザイン)制作時の注意点

ホームページをスマホ対応(レスポンシブ化)にする際には、ただレイアウトが崩れなければ良いというわけではありません。スマホユーザー特有の利用環境や操作性を考慮し、快適に閲覧できる品質に仕上げることが重要です。
ここでは、制作時に特に注意すべき技術的なポイントや設計上の配慮について解説します。
これらを意識することで、成果につながる質の高いスマホサイトが完成します。
画像の圧縮と最適化
スマホでの表示速度を確保するために、画像の取り扱いには細心の注意が必要です。高画質な写真は見栄えが良いですが、ファイルサイズが大きいと読み込みに時間がかかり、ユーザーの離脱を招きます。
画像をWEB用に適切な形式(WebPなど)やサイズに圧縮し、画質を保ちつつ容量を軽量化する処理が欠かせません。
また、画面サイズに応じて適切な大きさの画像を読み込む「遅延読み込み(LazyLoad)」などの技術を導入することで、体感速度を向上させることができます。
高解像度ディスプレイへの対応
iPhoneのRetinaディスプレイなど、最近のスマホは非常に高解像度な画面を持っています。そのため、PC用の画像を単に縮小表示するだけでは、画像がぼやけて粗く見えてしまうことがあります。
これを防ぐためには、実際に表示させたいサイズの2倍の解像度を持つ画像を用意し、CSSで縮小して表示させる手法が一般的です。
特にロゴやアイコン、文字を含むバナーなどは、ぼやけると安っぽい印象を与えてしまうため、高解像度対応を意識した画像作成が必要です。
ターゲットユーザーを意識した設計
スマホユーザーがどのような状況でサイトを見るかを想像して設計を行うことが重要です。
たとえば、片手で操作する場合、画面の上部は指が届きにくいため、重要なメニューやボタンは画面下部に配置するといった工夫が有効です。
また、外出先で地図や電話番号をすぐに知りたいというニーズに応えるため、ファーストビュー(最初に表示される画面)にそれらの情報を配置することも効果的です。ターゲットとなる顧客層の年齢や利用シーンに合わせ、文字の大きさや配色は常に見直す必要があります。
ホームページのスマホ表示に関するよくある質問
Q.現在のPCサイトをそのままスマホ対応にできますか?
A.可能です。レスポンシブデザイン化することで、現在のデザインやコンテンツを活かしたままスマホ対応させることができます。ただし、サイトの構造が古い場合はリニューアルが必要になることもあります。
Q.スマホ対応にはどれくらいの費用がかかりますか?
A.サイトのページ数や現在の作りによって大きく異なります。数万円で済むツール導入から、数十万円以上の制作費がかかるレスポンシブ改修まで様々です。まずは見積もりを取ることをお勧めします。
Q.スマホ対応しないと検索順位は下がりますか?
A.はい、下がる可能性が高いです。Googleはスマホ対応をランキング要因として重視しているため、非対応のサイトはSEOで不利になります。
【まとめ】スマホ対応にお悩みの方へ

本記事では、PCサイトをスマホでそのまま表示する際の問題点や、その具体的な解決策について解説しました。
スマホからのアクセスが主流となった現代において、文字が小さく操作しにくいサイトを放置することは、多くの見込み客を失うだけでなく、Googleからの評価(SEO)を下げる原因にもなります。
ユーザーにストレスなく情報を届け、ビジネスの機会を最大化するためには、ホームページのスマホ対応は必須の施策です。自社サイトの現状を確認し、ユーザーにとって快適な閲覧環境を整えていきましょう。
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