
第1回で「SEOの仕組み」、第2回で「SEOの必要性」を学びました。
いよいよ今回は、SEOの実践で最も重要なテーマである、「具体的にどんなサイトが評価されて、検索結果に上位表示されるのか」について解説します。
検索エンジンに「好かれるサイト」と「嫌われるサイト」には、明確な違いがあるのです。その違いを理解することで、どのようなサイトを作れば検索で上位に表示されやすくなるのかが見えてきます。
【この記事で分かること】
- 検索エンジンが最も大切にする「評価基準」がわかる
- 評価されるサイト・されないサイトの具体的な特徴を理解できる
- SEOの基本となる「内部対策」と「外部対策」の違いを知れる
SEOの評価基準 検索エンジンが重視する3つの評価

SEO対策を考える上で、基準とするのは基本的にGoogleの考え方です。Googleは「検索する人にとって最も価値のあるサイトを上位表示する」という方針のもと、さまざまな角度からホームページを評価しています。
そして、そのGoogleがサイトの評価において特に重視するのが、これから解説する3つの評価基準です。
これらの基準は、Googleが検索結果の順位を決める際の重要な判断材料となっているため、SEOを行う際は常に意識することが大切です。しっかりと理解しておきましょう。
1.ユーザーに役立つこと
Googleが評価を決定する上で最も大切にしているのは、「ユーザー」と呼ばれる、検索した人の「役に立つ」という視点です。
なぜなら、Googleのビジネスは「検索する人に最適な答えを提供すること」で成り立っているからです。もし検索結果に満足できないサイトばかりが表示されたら、人々はGoogleを使わなくなり、別の検索エンジンに移ってしまうでしょう。だからこそ、Googleは検索した人の満足度を最優先に考えているのです。
ユーザーがあなたの記事を読み終えたとき、「知りたいことが解決できた」「この記事は信頼できる」と納得してもらえるかどうかが重要です。
この読者の満足度こそが、サイトの評価を左右する最も重要な基準と言えるでしょう。
2.情報の正確さ
次に重視されるのは、サイトに書かれている情報の「正確さ」です。
書かれている内容が事実に基づいた、正しい情報であることはあなたのホームページの信頼性を担保する上で欠かせません。嘘や大げさな表現がなく、事実に基づいた誠実な記述が求められます。
特に、医療や健康、お金(金融)に関する情報など、健康や生活に直接関わる分野では、Googleは情報の正確性を極めて厳しく見ています。なぜなら、間違った情報によって検索ユーザーが金銭的な損失を受けたり、健康に悪影響を及ぼしたりするリスクを、Googleは非常に重く受け止めているからです。
記事を作成する際は、「事実をきちんと調べてから書く」「憶測や噂ではなく、根拠のある情報を伝える」ことを心がけましょう。
3.サイトの権威性
最後は、「このサイトは信頼できる情報源なのか」という権威性です。つまり、「専門家が書いているか」「長年運営されている信頼できるサイトか」といった信頼度を指します。
これは、大きく分けて「誰が言っているか(発信者)」と「サイト全体の信頼性」という2つの側面から判断されます。
まず、「誰が言っているか」という発信者についてです。これは、その情報がどのような人物や組織によって発信されたのかという点です。
例えば、健康に関する記事なら「医師が監修」、法律に関する記事なら「弁護士が執筆」、会計に関する記事なら「税理士が解説」など、専門家の関与があると権威性は高まります。また、会社の概要や運営者情報をしっかりと掲載することも重要です。
もう一つは、サイト全体がどれだけ信頼されているかという点です。
あなたのホームページが、Googleによって「信頼性が高い」と判断されているサイトからリンクを受けていると、その信頼性があなたのサイトにも波及し、Googleからの評価も高くなります。また、長期間にわたって有益な情報を発信し続けているサイトも、同様に高く評価されます。
「このホームページの情報なら安心して信じられる」と読者や他のサイト運営者が感じられるかどうかが、サイトの信頼性の評価につながるのです。
SEOで評価される「好かれるサイト」の共通点

「ユーザーに役立つこと」「正確さ」「権威性」の3つの評価基準を踏まえると、Googleから高く評価されるサイト、つまり検索結果で上位に表示されるサイトには、いくつかの明確な共通点が見えてきます。
ここでは、その中でも特に重要な3つの共通点に絞って、その特徴を紐解いていきます。
検索する人の疑問に答えるコンテンツ
Googleから高く評価されるサイトの最も重要な共通点は、検索した人の「知りたい」という気持ちに、どこよりも詳しく、そして分かりやすく答えていることです。
検索窓に入力された言葉の裏側には、必ず何かしらの疑問や悩みがあります。その背景を深く理解し、「そうそう、これが知りたかったんだ!」と読者が満足する答えを提供することが、コンテンツ作成において一番最初に意識すべきポイントです。
さらに、その情報が「誰によって書かれた、信頼できる内容か」という点も重要です。専門的な知識を持つ人が、自身の経験に基づいて書いた正確な情報は、読者に安心感を与え、サイトの評価も高まります。
読みやすく整理された構造
SEOで評価されるサイトは、読者がストレスなく読めるよう工夫されています。適切な見出しで話の区切りを明確にして、大きな見出しから小さな見出しへと段階的に内容を整理し、箇条書きや太字も効果的に活用しています。
どれだけ内容が良い記事でも、読みにくかったり、情報が整理されていなかったりすると、読者は途中でページを閉じてしまい、読み進めてもらえません。
特に、現在多くの人が利用しているスマートフォンでの見やすさは非常に重要です。実際、インターネットの検索の大半はスマートフォンから行われているため、ホームページのモバイル対応は必須条件となっています。
スマートフォンの画面表示では、文字が小さすぎたり、画像が画面からはみ出したりしていないか、といった配慮が求められます。
こうした整理されたサイト構造は、読者にとって読みやすくなるだけではありません。検索エンジンからも理解されやすくなります。検索エンジンは「クローラー」という仕組みで自動的にサイトの内容を読み取っているため、整理された構造の方が正確に内容を把握できるのです。
内容が整理され読み取りやすくなれば、検索エンジンのデータベースに適切に登録(インデックス)され、サイトが検索結果に表示されやすくなるというメリットもあります。
※クローラーやインデックスの仕組みについて詳しく知りたい方は、第1回の記事をお読みください。
信頼できる情報源として紹介されるサイト
Googleは、あなたのホームページが「他の誰かから信頼され、おすすめされているか」も見ています。
最も代表的なのが、他のサイトからリンクをつけて紹介される「被リンク」です。特に、同じ業界の専門サイトや、信頼できるメディア、公的機関などから「このホームページは参考になる」と紹介されると、サイトの専門性や信頼性が保証され、Googleからの評価が大きく高まります。
また、直接的なリンクがなくても、SNSやブログなどで「〇〇(サイト名やサービス名)は便利だ」と名前が出ること(サイテーション)も、SEOにおいて重要な要素の一つです。
SEOで評価を落とす「嫌われるサイト」の特徴

Googleに「好かれるサイト」の特徴はお分かりいただけたと思います。
一方で、「ユーザーの役に立たない」と判断され、評価を落とすサイトも存在します。
SEOを始めたばかりの頃は良かれと思ってやったことが、実はGoogleから嫌われる行為だった…というケースも少なくありません。
ここでは、特に初心者が無意識にやってしまいがちな「嫌われるサイト」の典型的なパターンを見ていきましょう。
コピー記事や情報が薄い記事
まず、最もやってはいけないのが、他のホームページの記事をそのまま、あるいは少しだけ手直しして自分のホームページに掲載する「コピー記事」です。
これは、著作権の問題になるだけでなく、Googleからも「独自性のない、価値の低いコンテンツ」と判断され、厳しいペナルティを受ける可能性があります。
また、コピーではないとしても「内容が薄い」記事も評価されません。例えば、数行しか書かれていなかったり、誰でも知っているような一般的な情報しか書かれていなかったりする記事です。
読者が読んだ後に「時間の無駄だった」と感じてしまうような記事は、Googleにとっても価値がないのです。
嘘の情報や誇張しすぎの表現
Googleは、読者に不利益をもたらす可能性のある不正確な情報を非常に嫌います。
意図的であるかどうかに関わらず、事実と異なる情報を掲載したり、科学的根拠なく「絶対に治る」といった誇張表現を使ったりすることは、サイト全体の信頼性を大きく損ないます。
読者を騙すつもりがなくても、結果的に誤解を招くような内容は、Googleから厳しい評価を受ける原因となるため、十分に注意が必要です。
キーワードの詰め込み過ぎ
上位表示させたいキーワードがあるからといって、記事のタイトルや本文に同じキーワードを何度も不自然に繰り返すのは逆効果です。
例えば、「SEO対策」で上位表示を狙うあまり、「SEO対策の方法を知りたい方へ。SEO対策は重要です。SEO対策を成功させるには、SEO対策の基本を理解することが大切です」といった文章を書いてしまうケースがあります。
このような「キーワードの詰め込み」は、読者にとって非常に読みにくく、不自然な印象を与えます。
さらに、Googleからも「検索順位を不正に上げようとしている」と判断され、ペナルティを受けて検索順位を下げる原因となりかねません。
広告だらけで読みにくいサイト
広告収入を得たいあまり、ページ内に広告を大量に配置してしまうサイトも、Googleから低く評価される典型例です。
広告が多すぎると、本文が広告に埋もれてしまい、「読みたい情報がどこにあるのか分からない」という状況が生まれます。さらに、広告の読み込みによってページの表示速度が遅くなったり、間違って広告をクリックしてしまったりと、読者にストレスや不快感を与えてしまう場合も。
Googleの目的は、検索した人の悩みを解決し、求める情報を快適に提供することにあります。ユーザーが不満に思うようなサイトは、この目的を果たせていないため、検索順位も下がってしまうのです。
適切な広告配置は問題ありませんが、常に「読者にとって読みやすいか」「情報を探しやすいか」を第一に考えることが重要です。
好かれるサイトになるために必要な2つの取り組み

ここまでで、「好かれるサイト」と「嫌われるサイト」の具体的な特徴を見てきました。
では、「好かれるサイト」になるためには、どのような行動を起こせば良いのでしょうか。
その具体的な行動こそが「SEO対策」であり、大きく分けて2種類の方法があります。それが「内部対策」と「外部対策」です。
まずはそれぞれの対策がどんなものなのか、以下の表をご覧ください。この2つを意識することが、SEOの基本となります。
比較ポイント | 内部対策 | 外部対策 |
---|---|---|
目的 | サイト自体の質を高め、 Googleに内容を正しく理解してもらう | サイトの「評判」や「信頼性」を高め、 第三者からの評価を得る |
対策の場所 | 自分のホームページの中 | 自分のホームページの外 |
具体例 |
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中身を良くする工夫「内部対策」
内部対策とは、あなた自身のサイトの「内部」で行う対策を指します。
記事の内容を充実させたり、サイトの構造を整理したりなど、基本的に自分自身でコントロールできる範囲の改善がこれにあたります。
ページの読み込み速度を向上させたり、スマートフォンでの表示を最適化したりする技術的な改善も、内部対策の重要な一部です。これらは「テクニカルSEO」と呼ばれ、サイトの裏側の仕組みを改善して、検索エンジンがより内容を理解しやすくする対策のことを指します。
この記事の前半で解説した「好かれるサイトの共通点」である、「ユーザーの疑問に答えるコンテンツ」や「読みやすく整理された構造」を目指す取り組みは、すべてこの内部対策に含まれます。
外からの評判を良くする工夫「外部対策」
外部対策とは、他のサイトや人からの評価を通じて、自分のサイトの信頼性を高めるための工夫です。
最も代表的なのが、他のサイトから紹介してもらう「被リンク」です。被リンクとは、他のサイトが「このサイトは役に立つ」とリンク付きで紹介してくれることを指します。
業界の権威あるサイトや公的機関、信頼できるメディアに「役立つ情報源」として紹介されれば、あなたのサイトの価値は客観的に保証され、検索エンジンからも高く評価されるでしょう。
さらに、直接リンクがなくても、SNSで話題になったり、口コミで名前が紹介されることも評価につながります。こうしたリンクなしの言及は「サイテーション」と呼ばれ、SEOで押さえておきたいポイントのひとつです。
「良い中身」が「良い評判」を呼ぶ
SEOを学び始めると、「被リンクが重要だ」という情報をよく目にするため、つい外部対策ばかりに気を取られがちです。
しかし、最も大切なのは「順番」です。評価されるべき「良い中身」がなければ、外からの「良い評判」(被リンク)を得ることはできません。そもそも、質の低いコンテンツに対して、外部からの高い評価が集まるはずがないのです。
まずは内部対策にしっかりと取り組み、読者の役に立つ質の高いサイトを作ること。その結果として、自然と他のサイトから紹介されたり、SNSで話題になったりする。
SEO対策では「質の高い中身を作る → 自然に評価が集まる」という流れを意識して取り組みましょう。
小手先のテクニックより「検索する人のために」が最重要

今回は、Googleに好かれるサイトと嫌われるサイトの違い、そしてSEO対策の基本となる「内部対策」と「外部対策」について解説しました。
色々なルールや対策がありますが、すべての中心にあるのは「検索する人のために、役に立つサイトを作る」というたった一つのシンプルな考え方です。
小手先のテクニックを追いかけるのではなく、まずは自分のホームページに訪れる「読者のために」という視点を第一に、記事を作成してみてください。それが最高の「内部対策」となり、いずれは良い「外部対策」にもつながっていきます。
次回の第4回では、この考え方を元に具体的にどのような行動を起こせば良いのか、「初心者が押さえるべき4つのポイント」を解説します。