
第1回でSEOの本質や重要性をご理解いただいたと思います。そして、「で、結局何から始めればいいの?」と思った方も多いのではないでしょうか。
第2回となる今回は、SEOで実際に行う取り組みの内容と、あなたのビジネスの強みをSEOで活かすための考え方をお伝えします。
【この記事で分かること】
この記事ではSEO対策の中身、自分でSEOを始める場合はどこから手をつければいいのかなどをお伝えします。
- SEOで取り組む3つの分野とそれぞれの役割
- 初心者が取り組むべき分野はどこか
- コンテンツSEOの進め方
- あなたの強みを言語化する方法
最後までお読みいただければ、自分のビジネスの特徴や強みをはっきりさせて、それをSEOに活かす道筋が見えてきます。
SEO成功に必要な3つの要素

検索順位を最適化する「SEO対策」とひとことで言っても、その対策の中身にはさまざまな種類があり、大きくは以下の3つに分けられます。
- コンテンツSEO
- 内部対策(※テクニカルSEOを含む)
- 外部対策
これらの施策を実施するには、必要な知識やスキルが異なります。
まずはそれぞれの施策で行う内容や注意点を把握しましょう。
1.コンテンツSEOとは
コンテンツSEOとは、検索する人にとって役に立つ記事を作成し、検索結果で上位に表示してもらう方法です。
これには、何らかの検索をしている人が、どんな悩みを持ち、どんな情報を求めているかを理解し、その人に響く形で情報を伝える記事を作成する必要があります。
ただし、コンテンツSEOは「投資」のようなもの。「第1回:知っておきたい「SEO」の基礎知識」でもお伝えしている通り、記事を書けばすぐに結果が出るわけではありません。
コンテンツSEOは記事を書いてから効果が出るまで、通常3〜6ヶ月かかります。しかし一度効果が出始めると、その記事は24時間365日、インターネットで集客し続ける強力な営業力を発揮してくれます。
2.内部対策とは
内部対策とは、ホームページの中身を見やすく、わかりやすく整える施策です。
例えば「見出しをつけて文章を読みやすくする」「画像に説明文(alt)を入れる」など、ホームページを見た人が実際に目にする部分を調整します。
内部対策に似たものとして、サイトの技術的な土台を整える専門的な領域として「テクニカルSEO」という分野もあります。
テクニカルSEOは、検索エンジンにホームページの内容を正しく認識・評価し、見つけてもらいやすくするための技術的な設定や調整を行う施策です。
例えば「ページの読み込み速度を速くする」「スマートフォンで見やすく整える」「Googleにサイトを登録する」などの設定が、テクニカルSEOにあたります。
内部対策とテクニカルSEOは、どちらもホームページの中で行う施策ですが、力を入れるポイントが少し違います。
- 内部対策=ページを見た人が読みやすくなる工夫
- テクニカルSEO=検索エンジンに伝わりやすくする工夫
もし設定に技術的な問題があると、検索エンジンはページを見つけたり、内容を理解したりすることができません。誤った設定のままでは、どれだけ価値のある記事を書いても、その努力は報われず、検索結果に表示されにくくなってしまうのです。
3.外部対策とは
外部対策とは、他のサイトを通じて、自分のホームページの評価を高める施策です。他のサイトにリンクを設置してもらったり、SNSなどを利用して情報発信をしたりなどの取り組みを行います。
外部対策は、ホームページの信頼性向上に直結します。そのため、リンクの数や内容は、サイトの評価を大きく左右する重要な要素です。リンク元の信頼性や権威性、自分のサイトとの関連性などが重視されます。
さらに最近では、「リンク」だけでなく、ブランド名がインターネット上で言及されること(サイテーション) や、SNSでの拡散による間接的な効果も、SEOにプラスに働くと考えられています。
つまり、必ずしもリンクが貼られていなくても、インターネット上で「あの会社についての記事をよく見かける」といった形で存在感を高めることが、結果的に検索エンジンの評価にもつながるのです。
リンク数を増やしたいからといって、自分でリンク獲得のためだけに別サイトを立ち上げ、そこからリンクを張るような行為は通用しません。こうした「自作自演」の不自然なリンクは、検索エンジンからの評価を下げてしまいます。
SEOの全体像
ここまでで、SEOには「コンテンツSEO」「内部対策」「外部対策」という3つの要素があることが分かりました。
これらのどこに重点を置くか、優先度はどうするかなどを、自分のホームぺージの現状をふまえ検討して決めていくのが「SEO戦略」です。
SEO、何から取り組むべき?

SEO対策の内容について理解したうえで、SEO初心者はどこから始めれば良いのかを明確にしましょう。
自分でSEOを始めようという方には、まず「コンテンツSEO」に重点的に取り組むことをおすすめします。
中小企業や個人事業主の場合、大がかりなSEO戦略を立てることは難しいと感じる方も多いと思います。しかし、基本的な知識を身につければ、効果的なSEO対策の実行は十分可能です。
「コンテンツSEO」「内部対策」「外部対策」の3つにバランス良く取り組めれば理想ですが、すべての分野を自分一人で完璧に対応するのは現実的ではありません。特にテクニカルSEOは専門的な技術と知識が必要で、外部対策も他サイトとの関係構築など、初心者には難しい側面があります。
だからこそ、限られた時間と予算の中で最も効果的に取り組める分野を見極め、そこから着手しましょう。
コンテンツSEOに取り組むべき理由
前述の通り、コンテンツSEOで行うのは「検索する人にとって役に立つ記事」の作成です。
誰かの役に立つ価値ある記事を作成するのに必要な知識や情報は、誰よりもあなた自身が一番深く持っているはず。自分のサービスについて、その特徴や強み、お客さまに提供できる価値を最も理解しているのは、間違いなく自分自身です。
どんなに優秀なSEO専門業者であっても、あなたのビジネスの細かなノウハウや、長年の経験で培った専門知識を、あなた以上に深く理解することはできません。
例えば、税理士であれば税務の実務経験をふまえた手続きの注意点、美容院であれば髪質に合わせたヘアケアの知識、工務店であれば建築の現場で得た知恵など、それぞれの分野の「現場の専門性」は、あなただけが持つ財産です。
リアルなお客さまの声は、最高の情報源
「よくこんな質問をされる」「お客さまがいつも困っているのはこの部分」「こういう説明をすると、とても喜んでもらえる」このような実体験に基づく情報は、検索している人が本当に知りたがっている内容と直結しています。
あなたが日々の業務の中で耳にする、お客さまから直接聞く質問や相談、感謝の言葉や困りごと。これらの「生の声」の中にこそ、価値のある記事のためのヒントが詰まっています。
このヒントを元にした記事を作成できるのは、あなたをおいて他にいません。そして、そのような独自性のある記事が、まさにコンテンツSEOで評価されるのです。
テクニカルSEOは「手段」にすぎない
「テクニカルSEO」や「外部対策」については最低限の基本を押さえれば十分といえます。
SEO成功のカギを握るのは、高度な技術ではありません。「テクニカルSEO」も「外部対策」も、必要に応じて専門業者に相談することが可能です。
テクニカルSEOは、あくまでも「手段」に過ぎず、あなたが持っている価値ある情報を、検索エンジンに正しく理解してもらうための技術的なサポート役です。
伝えるべき価値ある「中身」があってこそ、初めて意味を持つのがテクニカルSEOです。どんなに技術的な設定が完璧でも、発信する情報自体に価値がなければ、検索で上位に表示されることはありません。
逆に、本当に価値のある情報であれば、多少技術的な部分が不完全でも、検索エンジンは適切に評価してくれます。
技術的な部分は最低限の基本を押さえるのみとして、そのほかの時間とエネルギーを「自分だけが持つ情報を活かしたコンテンツ作り」に注ぐべきなのです。
独自性のある記事が検索で評価される理由

なぜ、あなたが持つ情報をもとに作成する独自性のある記事がSEOでの成果につながるのか?
その答えはシンプルです。Googleをはじめとする検索エンジンが最も重視するのは「検索する人の満足度」であるため、検索エンジンは「検索する人にとって価値のある情報」をより上位に表示するからです。
特にAIが一般的な情報を大量に生成できるようになった今、現場でしか得られない独自の知見や体験談は、検索エンジンからもユーザーからも強く求められています。
検索する人は何を求めているか?
検索する人を本当に満足させる「価値ある情報」は、どこから得られるのか。これらは、あなたが日々の業務で培ってきた技術や集積された知識、そしてその結果の中にあります。
あなたが日々の業務で培ってきた技術や集積された知識は、実践的であり具体的、かつ信頼のおける情報です。
検索エンジンに価値をきちんと評価してもらえるよう、こうしたSEOにとって本当に「良い」独自性のある内容を、正しい方法で発信していきましょう。
検索する人が求めている情報 | |
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実践的な情報 | 机上の理論ではなく、実際に現場で使える知識 |
具体的な情報 | 誰にでも当てはまる話ではなく、具体的な状況に応じた対応 |
信頼性の高い情報 | 経験や成功事例に裏付けられた情報 |
現場で培った「実践的」な使える知識
業務に携わる中で、自分が蓄積してきた実体験と専門知識は、机上の理論では得られない貴重な財産です。
実際にお客さまと向き合い、問題を解決し、結果を出してきた経験から生まれる情報は、検索している人が最も求めている「実践的で使える知識」そのもの。
「理論上はこうなるはずだが、実際にやってみるとこんな問題が起こりやすい」「一般的にはこう言われているが、現場ではこの方法の方が効果的」といった、現場だからこそ分かる深い専門知識は、どんな教科書にも載っていない価値ある内容となり得ます。
現場で手を動かしてきたからこそ語れる、具体的で実用性の高い情報は、本当にその分野について詳しく知りたい人にとって、まさに探し求めている内容です。
一般論で終わらない、「具体的」な対策や解決法
お客さまが「こんなことで困っている」「実はこんな不安を抱えている」「こういう解決方法を求めている」という具体的な声は、検索キーワードの背景にある「本当に解決したい悩み」と直結しています。
日々お客さまと接する中で行う業務は、一般的な対応だけではなく、一人ひとりのお悩みや状況に沿った、より具体的な対応も多いでしょう。こうした個別具体的な内容は、あなただけの独自性のある記事の元になります。
例えば、地域や業界における、その環境特有の課題やニーズなどは独自性を出しやすい分野です。
地域の気候や文化、法規制、商習慣、お客さまの傾向など、その場所で実際にビジネスを行っているからこそ分かる細かな情報は、同じ地域や業界で情報を探している人にとって、非常に価値の高い専門情報です。地域密着型の専門知識は、一般的な情報ではカバーできない、あなたのビジネスならではの独自性を生み出します。
そしてこうした独自性が、表面的な情報では満足できないお客さまの、本当の悩みに応える情報となります。検索している人の心に響くコンテンツを提供できるのは、現場に立つあなただけなのです。
実績があるからこそ出せる「信頼性」がある情報
「実践性」があり、かつ「具体性」の高い情報に、圧倒的な説得力を与える最後の要素。それが、実績に裏付けられた「信頼性」です。
インターネット上には、「誰が言っているか分からない情報」が溢れています。検索している人は、常に「この情報は本当に正しいのだろうか?」「これを信じて大丈夫か?」と、無意識のうちに情報の信頼性を確かめようとしています。
そんな時、「実際に、この方法でお客さまの問題が解決しました」「私たちは、これまで多くの事例で成功しています」といった、あなたの経験と実績に基づく一言やデータが、情報の価値をさらに高めるのです。
現場で「実際に結果を出してきた」という事実。あなたが持つ「信頼性」は、単なる情報サイトには決して真似のできない、当事者だからこそ発揮できる、大きな価値です。
SEOにとって「良い」記事とは?
「役に立つ記事」と言っても、SEOの観点から見ると、それには大きく2種類あることを理解しておく必要があります。
例えば、あなたが会社のホームページの中に、趣味の「釣り」について、専門家顔負けの非常に役立つ記事を書いたとします。この記事は釣り好きの読者にとっては最高の情報であり、多くのアクセスを集めるかもしれません。
しかし、あなたの本業が「工務店」である場合、この記事はビジネスの成果につながる可能性が極めて低いため、SEOの観点では「悪い」記事と言えます。なぜなら、釣り好きの読者がリフォームを検討している「見込み客」である確率は非常に低いからです。
一方で、「築30年の木造住宅、冬の寒さを解決する断熱リフォームの注意点」といった記事はどうでしょうか。これは、あなたの本業の専門知識を活かした、リフォームを検討している「見込み客」にとって、非常に役立つ情報です。
アクセス数は釣りに関する記事より少ないかもしれません。しかし、この記事を読む人は、あなたのサービスに強い関心を持つ可能性が非常に高い層です。
このように、ホームページのテーマに沿っており、最終的にビジネスの成果(問い合わせや売上)につながる可能性が高い読者を集める記事こそ、SEOにとって「良い」記事なのです。
コンテンツSEOの4つのステップ

コンテンツSEOを始めるとき、具体的に何から取り組めばよいのでしょうか。
まずはその全体像を、4つのステップに分けて解説します。
- ステップ1:キーワード選定
- ステップ2:記事の作成
- ステップ3:最低限のテクニカル設定
- ステップ4:効果測定と改善
ステップ1:キーワード選定
まず最初に取り組むべきは、お客さまがどのような言葉で検索しているかを知ることです。そして、お客さまの悩みや知りたいことを「キーワード」という形で具体的に把握し、そのキーワードを軸に、どんな記事を書いていくかを計画します。
ステップ2:記事の作成
選定したキーワードをもとに、検索している人にとって本当に役立つ記事を作成します。現場で得た専門知識と経験を活かし、読む人の問題を解決できる情報を発信していきます。
ステップ3:最低限のテクニカル設定
検索エンジンにあなたのサイトと記事を正しく認識してもらうための、基本的な技術設定を行います。この設定は最初から完璧である必要はなく、最低限のポイントを押さえれば十分です。
ステップ4:効果測定と改善
作成した記事で一定期間ホームぺージの運用を継続した後、効果を測定します。そして、より成果の出るキーワードや内容に焦点を絞って記事を改善したり、追加の記事を作成したりしていきます。
繰り返して、強化していく
ご紹介したステップ1~4は、ひと通り行って終わりではありません。
コンテンツSEOでは、これらのステップを繰り返し継続していくことが重要です。価値あるページを増やして、検索エンジンと検索する人からの信頼を着実に積み重ね、サイト全体の評価を高めていきましょう。
ステップ1の前に:自分の強みを言語化する方法

4つのステップの中で、最も重要で最優先に取り組むのはステップ1の「キーワード選定」です。
自分が提供しているサービスやビジネスの強みを、「インターネット上で検索される言葉」=「キーワード」として表現するためには、自分の強みをしっかり把握しておく必要があります。
キーワード選定の前に、自分の強みを具体的な言葉として置き換える3つの方法をご紹介します。
1:お客さまからよく感謝される内容を書き出す
日頃、お客さまから「ありがとう」「助かった」「よかった」と言われる内容を思い出してみましょう。次に挙げる3つのポイントを、言葉で書き出してみてください。
お客さまがどのような問題を抱えて相談に来るか
どんなサービスに対して感謝されることが多いか
問題の解決後に、どんな言葉で喜びを表現されるか
書き出してみた内容は、あなたが提供したサービスにおいて、お客さまが本当に価値を感じている部分です。そして、それは同じような悩みを持つ人が検索するキーワードと深く関係しています。
2:自分のサービスの独自性・特徴を明確にする
次に、あなたのビジネス・サービスや、その提供のしかたの特徴を整理しましょう。次に挙げる4つのポイントを、言葉で書き出してみてください。
特に得意としている分野や業界があるか
独自の経験や資格、実績があるか
他とは違うアプローチ方法があるか
お客さまに提供する際の特別な配慮があるか
これらは、あなたのサービスに関する独自性を明確にするのに役立ちます。一般的な情報では満足できない人が、より専門的で具体的な情報を求めて検索するキーワードにつながります。
3:長年の経験で蓄積したノウハウを整理する
あなたが長年の業務で培ってきた「コツ」や「ノウハウ」を思い出して、書き出してみましょう。
よくある失敗パターンとその回避方法
効果的だった解決方法や手順
業界の常識とは異なる、あなたなりの工夫
お客さまによく伝えているアドバイス
実践的なノウハウの情報は、具体的で役に立つ記事のためにとても重要です。また、その方法や手順の中に、検索する人が入力するキーワードのヒントがあります。
言葉にするところから始める
自分の知識や経験をSEOにおける強力な武器として活用するためにも、まずは自分の強みをしっかりと把握し、はっきりと言葉にする作業は大切です。
どんなに素晴らしい記事を書いても、お客さまが実際に検索していない言葉をテーマにしていては、検索結果に表示されません。
逆に、お客さまが本当に検索している言葉で価値ある情報を提供できれば、テクニカルな部分が多少不完全でも、検索上位を獲得できる可能性は十分あります。
SEOには、継続的な対応が求められます。コンテンツSEOとして計画的に施策を続けていくためにも、この言語化の作業は重要です。
表面的な情報でキーワードを決めたり、やみくもにページ数を増やしたりするのではなく、きちんと狙いを定め、狙うキーワードに沿った記事を作成しましょう。
まとめ

第2回では、SEOに取り組むうえで「まず何から始めるべきか」を解説しました。
SEOで成果を出すカギは、特別な技術や小手先のテクニックではありません。
あなた自身が持つ専門知識や現場の経験、お客さまの声を活かした「価値ある記事」を作ることこそ、最も効果的なスタートラインです。
内部対策や外部対策も重要ですが、初心者が限られた時間と予算で取り組むなら、まずはコンテンツSEOに力を入れることが成功への最短ルートです。
「お客さまに本当に役立つ情報を、わかりやすく伝える」この積み重ねが、ホームページの評価を上げ、検索順位を高め、あなたのビジネスにつながる読者を着実に増やしていきます。
次回は、その第一歩となる「キーワードの選び方」について詳しく解説していきます。ここから、あなたのコンテンツSEOが本格的に始まります。