士業のための「広告表現」の抜け道!
開業して事務所を構えていれば、受任できる時代は終わってしまいました。約15年前に広告解禁がなされてから、士業で生き残るためには、今や広告はなくてはならないものになっています。
どうせ広告を打つなら、効果のある広告を打ちたいもの。そのためには、広告文で何を言うか、先生の事務所を広告でどう見せるかが重要になってきます。
ただ、広告が解禁になったからと言って、全く自由にどんな広告を打っても良いわけではありません。使ってはいけない広告表現が存在します。でも、広告表現ルールをただ真面目に守ってばかりいると、あまり魅力的な広告は作れません。
だからと言って、広告表現ルールを無視して良いかというと・・・?
士業という職業柄それは避けたいところ。
そこでこの記事では、『士業のための「広告表現」の抜け道』と題して、ルールを守りつつ、より効果のあがる広告表現法を考えてみたいと思います。
勝訴率98.6%です!
弁護士なら、この表現を使えたら良い宣伝効果をもたらします。訴訟の勝訴率が示せたら、事務所の実績アピールにもなりますし、信頼度アップにもなるからです。
通販で言えば、「顧客満足度97%」のようなイメージです。数値は人の目を引き付ける効果があり、具体性もあるので、マーケティングの思想から言えば、使いたい表現です。
しかし残念ながら、この表現は使えません。たとえ、事実に基づいた数値だとしても広告には使えないと定められています。弁護士が数値で何かをアピールするなら、別のものを考えなくてはいけません。
〇△×株式会社の顧問をしています
顧問をしている会社がネームバリューのあるところなら、ぜひアピールに使いたいところです。顧問先の会社の信頼度や好感度などの評価が、そのまま先生の事務所へ跳ね返ってきます。
しかし、こちらも通常では使えません。例外として、「書面による同意」がある場合のみ使うことができます。顧問先や、依頼人の中に有名な人がいるのであれば、ぜひ書面による同意をもらって、アピールできるようにしておきましょう。どのような業種においても、「お客さまの声」ほど、消費者に響くものはありません。
今、こんな案件扱ってます。過去にこんな案件、扱いました。
どのような案件をこれまで扱っているのか、今、どのような案件を扱っているのか、できるものならアピールしたいところです。「私はこの分野に強いんです!」と言わなくても、扱っている案件を見せることができれば、自然と先生の強みを伝えられます。
しかし、これも基本はNGです。ただ例外もあります。依頼者の不利益にならない場合、依頼者の同意を書面で得られている場合には、過去の取り扱い案件を具体的に見せることができます。
できれば、具体的に見せられる案件を用意しておきたいところですが、なかなか難しい場合は、取扱い業務として、「相続・離婚問題を多く扱っています」など、これまで扱ってきた分野を見せて対応しましょう。
〇〇事務所と比べて、30%安い!
他の事務所と比べて、どの点が優れているというのを直接的に言うことはできません。これはモラル的にも、あまりおすすめできない広告表現です。
「この分野をとくに研究しています」、「適正価格を心がけています」、「親身にお話を伺います」など、他事務所と比較しなくても、自分の事務所をアピールできる表現を考えましょう。
〇〇の問題を、必ずあっという間に解決します
これは士業に限らずですが、誇大広告や過度な期待を持たせる広告表現は禁止されています。
「絶対」「最高の」「日本一」などの表現もNGです。
最近、ネット広告の中では、この辺りを無視した広告も散見されますが、士業であるからこそ、広告表現を遵守した上で戦いたいものです。
今、顧問契約すると、2万円キャッシュバック!
士業という職業を考えた場合、この表現はちょっと軽すぎ・・・・・・とは感じるのではないでしょうか?
その時点で、使うのは避けたい表現ではあります。オファーを工夫するのは大切なことですが、これは「社会的儀礼の範囲を超えた利益供与の広告」に該当する恐れがあります。
価格の安さを訴求すると確かにレスポンスは良いのですが、過剰にならないようにしましょう。士業でよく使われるのは「無料相談」です。「無料」というワードに消費者は弱いものですが、確度の低い見込み客を集めてしまう可能性も高いので、使いどころはよく考えた方が良いでしょう。
賢い「脱税」の方法教えます
弁護士や税理士が、このような広告を打っていたら・・・・・・? 常識的に考えても、良くないとお分かりいただけると思います。広告表現の仕方としては、非常に目を引く方法ですが、士業の品位や信用を損なうおそれのある広告表現は避けるようにしましょう。
「賢い節税対策」「知って得する!税金対策」くらいの表現にとどめておくのが無難です。
ちなみに、この記事のタイトル「広告表現の抜け道」も、品位を損なうのでNGです。
〇〇「専門」です
弁護士の場合、専門性や得意分野を表示することは、禁止ではありませんが「控えること」とされています。
客観性が担保されないまま「専門家」「専門分野」を表示するのは、誤導のおそれがあり、国民の利益を害し、弁護士に対する国民の信頼を損なうおそれがあるとして、そのように定められています。スペシャリスト、プロ、エキスパートなどといった類似表現も同様です。
「〇〇を得意分野にしています」「〇〇を専門に扱っています」という表現は避けた方が無難です。
でも専門性を絞った方が、ユーザーに刺さりやすいのは確か。もし相続問題について相談したいとしたら、「なんでもできます」と打ち出しているところより、「相続問題に詳しいです」と打ち出しているところに頼みたいと思いませんか?
専門性をさり気なくアピールする方法として、「専用ページ」や「業務特化サイト」を作るという手があります。自ら「相続問題が専門です!」と言わなくても、サイトに「相続問題」について役立つ情報が載っていれば、それを見たユーザーは自然と「ここは相続問題に詳しいな」と感じてくれます。
業務特化サイトへの誘導も、「相続税専門の~」「相続問題に強い~」ではNGなので、「相続問題なら〇〇」という見せ方をしてみるのが一つ。また、「取扱分野」「取扱業務」という見せ方はOKなので、「主な取扱分野は、相続問題です」としても良いでしょう。
また、「客観性がない」まま「専門家」をアピールすることを懸念して、控えるように定められているので、専門家と名乗るに値する実績や経験を証拠として提示できるなら、問題ないとも解釈できます。
先生の実績・経験と照らし合わせて、強みとして打ち出せるかどうか、ぜひ検討されてみてください。士業に限らず、誇大広告はNGです。真実を伝えつつ、強みをアピールできる工夫をしていきましょう。
この記事のまとめ
- 士業なら、広告表現ルールを守った宣伝を!
- 広告表現は、ルールを破らない抜け道を模索して、見せ方を工夫しよう!
- 専門性をアピールするなら、業務特化サイトがおすすめ!