リードナーチャリングとは?新規顧客を育成する4つの施策
リードナーチャリングとは日本語に直すと「見込み客育成」のことを指します。
特に営業をともなうBtoB系のセールス・マーケティングにおいて使用され、見込み客を新規獲得するまでを「リードジェネレーション」、見込み客を育成して自社の商品やサービスを購入するように顧客の意欲を高めるのが「リードナーチャリング」です。
本記事では特にリードナーチャリングとは何かについて説明します。
見込み顧客はマーケティングで育成する
まずは、近年の営業活動環境に関する分析から、リードナーチャリングという概念がなぜ発展したのかをご説明します。
なぜ飛び込み営業は難しくなったのか
昭和の時代、リードジェネレーション、ナーチャリングの役割を果たしてきたものの一つに飛び込み営業があります。
今でこそ飛び込み営業と言えば、なかなか決まらないネガティブなイメージがあるかもしれませんが、決してこの時代の飛び込み営業は不合理だとも言い切れませんでした。
特にテレビCMなどを放送しないBtoB系の会社の情報は不足しており、直接営業に来てもらわなければサービスを受ける側も情報収集が行えなかったからです。飛び込み営業や展示会、業界の集まりなど実際に会わないと情報収集も検討も進まなかったのです。
ネットの発展が営業の形を変えた
この環境を変えたのがインターネットです。
インターネットの発達により相対的に飛び込み営業の持つ価値は薄れてきました。
サービスを受ける側はネットを使って能動的に情報収集が可能になりました。また、企業の成長に伴い企業内の購買決定のプロセスが複雑化。稟議や製品の比較検討のステップが重要になってきたのです。
見込み客は能動的に育成される
このような情報収集、意思決定のプロセスの変化により、プッシュ型の営業が少なくなってきました。
今の営業では、能動的に情報収集・意思決定をする見込み顧客に、適切な情報を与えることが必要です。
このような見込み客の育成で効果を発揮するのが、セールスではなくマーケティングのノウハウなのです。
リードナーチャリングのプロセス
では、リードナーチャリングはどのようなプロセスで見込み客を育成するのか、ご説明します。
リード(見込み客)を分類する
まずは、リードナーチャリングにおける見込み客の分類方法について説明します。
もちろん、見込み客がいてとりあえず営業すればすぐに成約するわけではありません。
さきほども説明した通り、能動的な情報収集が可能になって、購買のプロセスも厳格になったために、見込み客発見から成約までの期間も長くなっています。
よって、まだ情報収集を始めたばかりの顧客と、もう具体的に購買をしようと購買している顧客を同じ扱いにはできません。
リードナーチャリングにおいては見込み客を大きく以下の3種類に分類します。
(会社によっては更に細かく分類している場合もあります。)
(1)「コールドリード」:
まだ、ホームページを閲覧してどのような商品やサービスがあるのか基本的なことを情報収集している見込み客
(2)「ホットリード」:
もう具体的に欲しい商品やサービスの仕様が決まっていて注文をしようとしている見込み客
(3)「ウォームリード」:
コールドリードとホットリードの間で徐々に情報収集、検討している見込み客
どうすればリードのステップが上がるのか
上記のように、コールドリード→ウォームリード→ホットリードという段階を経て受注につながるわけですが、どうすればリードのステップが上がるのでしょうか。
結論から言えば、そのステップの昇格基準の決定方法は各企業に委ねられています。
例えば、MA(マーケティングオートメーション)ツールではよくスコアリングと言って、このセミナーに参加してくれたら何点、この資料請求を希望したら何点というように行動毎に点数を設定しておきます。
顧客の行動をベースにそれぞれの顧客に点数をつけて、一定以上の点数になると昇格するという顧客管理を行います。
もちろん、MAツールが無くても、リードの管理は可能です。
例えば、セミナーアンケートの評判が高くて答えているのは決裁権者なのでホットリード、展示会で名刺交換しただけなのでコールドリードのように社内で基準を設定する事も良い方法です。
リードナーチャリング 4つの施策
では、コールドリードからホットリードに育成するリードナーチャリングが、具体的にどのような手法で行われるか、ご説明します。
メルマガ・ステップメール
まず、一番オーソドックスな手法はメールマガジンやステップメールと呼ばれる手法です。
BtoBでも意外とメールマーケティングは重要で、長い検討期間をわざわざ営業担当がフォローするのはコストがかかるので、コスパの良いメールマーケティングが採用されやすいです。
特にメルマガ配信システムによっては、誰がメールを開封して、メール内のリンクをクリックして、資料請求をしたのかということが分かるようになっているので、顧客の温度感を図りやすいマーケティング方法だと言えます。
セミナー
続いて紹介するのがセミナーによるリードナーチャリングです。
セミナー営業を行うメリットは、セミナーに参加してまでも情報を仕入れたい、ある程度意欲の高い見込み顧客を獲得できることです。
また、セミナーについても見込み客を集める用のセミナーや、既存顧客に商材に対する理解を深めてもらうセミナー、顧客のニーズ別セミナーのように切り口を変えることによって、顧客のニーズに応じたセミナー営業とその後のフォローが可能になります。
DM
DMも有効な手段です。BtoBのマーケティングでは、展示会やセミナーなど実際にユーザーと対面するタイプのマーケティング手法への誘導が多くなりますので、DMによる告知も非常に重要です。
また、展示会やセミナーはある程度ブースやセミナールームに人がいないと見栄えがしません。このような既存顧客に対するDMによる告知には一定の反響が期待できるので、新規を取れるように展示会やセミナーの見栄えを良くするためにも重要です。
SNS
SNSも重要な情報発信手法です。性質としては、既存客に定期的に情報を発信していく手段としてメルマガやステップメールにも似た顧客育成方法ですが異なる点が2つあります。
1つはSNSは新規顧客の獲得も可能ということです。メルマガはメールアドレスを知っている顧客に対してしか送れませんが、SNSはいいねやシェアなどの効果によって不特定多数に閲覧されて、その中から新規のフォローを獲得できる可能性があります。
もう1つは閲覧される可能性が高いということです。
特にFacebookやTwitterはユーザーのタイムラインに他の投稿に紛れる形で表示されるので、メルマガよりも、ユーザーが見る確率が高くなります。
リードナーチャリングのまとめ
以上のようにリードナーチャリングについて説明してきました。
リードナーチャリングとは見込み客を育成することを指します。
近年はインターネットの発達と購買プロセスの厳格化によって、購入決定までの検討期間が長くなっています。
そのため、見込み客育成の仕事が営業からマーケティングに移行してきました。
リードナーチャリングでは、メルマガやセミナー、SNSなどを活用して能動的に情報収集・検討を行う見込み客に対して適切な情報を与え、自社商品やサービスの購買に導きます。