ホームページ制作費用の勘定科目の決め方【徹底解説】会計処理の悩みを解決!
更新日:2022年2月2日

事業者が会計処理を行う際、何の費用として計上するかを仕訳しますが、この費用種別のことを「勘定科目」と呼びます。勘定科目には、「水道光熱費」「支払手数料」「消耗品費」などさまざまな勘定科目がありますが、「ホームページ制作費」というものは無いため、どの勘定科目に決めればよいか悩まれる方も少なくありません。
そこで本記事では、「ホームページ制作費」の勘定科目について詳しく解説していきます。適切な会計処理は、節税対策にもつながります。ぜひ本記事を参考にして、正しい勘定科目について学んでいきましょう。
ホームページと勘定科目の関係

事業の開始と同時にホームページを制作する事業は多いと思いますが、その時点でどの勘定科目か考える人はあまりいません。そもそも勘定科目とは、お金を何に使ったのか、なぜ入金があったのかを表す種類のこと。法人・個人事業者を問わず、勘定科目によってお金の流れを分類して記録していきます。こうして記録したものを最終的に決算書(貸借対照表・損益計算書)にまとめていきます。
勘定科目の中でも、
「資産」「負債」「純資産」に入るものは貸借対照表に、
「収益」「費用」は損益計算書に記載します。
一般的な企業サイトを制作した料金は、「費用」にあたります。
費用は、さらに区分、勘定科目名に細分されています。勘定科目の名前は、法律の定めがなく、会社や個人事業主がわかりやすいものを自分でつけても問題ありません。本記事では、あくまで一般的に使われている勘定科目を使用します。
ただし、会計には「継続性の原則」というものがあり、いちど決めた勘定科目は使い続ける必要があるので注意しましょう。
HP作成費用の勘定科目は基本的に「広告宣伝費」

前章では、ホームページ制作費の勘定科目が費用に分類されること、一度決めたら変更してはならないことを解説しました。ここからはいよいよホームページの勘定科目について具体的に解説していきます。
企業はさまざまな目的からホームページを制作します。結論を先に述べると、企業や商品(サービス)をPRするホームページの場合は、「広告宣伝費」の勘定科目で会計処理します。
1年以上更新しない場合は「繰延資産」や「長期前払費用」にも

ただし企業が制作するホームページにも「広告制作費」の勘定科目に当てはまらないこともあります。広告宣伝費として会計処理するには、「使用期間が1年以上に及ぶ場合」というルールがあるからです。
使用期間が1年以上の場合は、「繰延資産」または「長期前払費用」として会計処理します。繰延資産として計上する場合、使用期間によって均等償却する形となります。
(繰延資産:数年間にわたって費用計上できる資産のこと)
でも、考えてみれば企業のホームページはほとんどの場合1年以上使用しますよね。文字通り読むと、ほとんどの場合「繰延資産」として計上されることになってしまいます。
広告宣伝費として処理する場合は更新を!
少しわかりにくいですが、ここで言われている「使用期間が1年以上に及ぶ場合」というのは、1年以上ホームページの更新をせずに運用している状態を指すものです。
1年以内にホームページ内の記事やデザインなどが何かしらで更新されていれば、税務上で言われている「使用期間が1年以上に及ぶ」場合には該当しません。ホームページ制作費を広告宣伝費として処理する場合は、ホームページを1年以内に更新するようにしましょう。
ECサイトの制作費はソフトウェアとして「資産計上」も

ホームページの勘定科目について考える時、一般的な企業サイトと異なるのがECサイトです。ECサイトとは、商品を販売することを目的にしたホームページのことを指します。
ECサイトの制作費も「広告宣伝費」として計上することが可能ですが、
- 会員登録機能やログイン機能
- オンラインショッピング機能
- ゲーム機能
などが搭載された高機能なECサイトの場合は「ソフトウェア」とみなされるので、無形固定資産として資産計上し、耐用年数5年の減価償却することもできます。
価償却費の計算方法は「定額法」となります。定額法による減価償却は、資産額を法定耐用年数で割った金額を5年間計上します。
例えば、ECサイトの制作費が100万円だった場合、法定耐用年数の5年で割った20万円が減価償却費になります。ECサイトの制作費を資産計上すれば、減価償却費として計上できるため、法人税を節税することができます。
※「減価償却費」とは
固定資産を取得した際にかかった原価を一括で経費計上せず、資産を使用できる期間(耐用年数)に応じて分割し、毎年少しずつ計上していく費用を指します。経理上は、減価償却資産を仕訳する際に「減価償却費」という勘定科目になります。
ホームページ運用にかかる各管理費の勘定科目

ホームページは、完成してからが重要です。制作した目的を果たすためには、公開した後の運用管理が成功の鍵を握っています。コツコツとこまめにコンテンツを更新したり、結果を分析してSEO対策を重ねて検索順位を上げていくことで、成果に結びついていきます。
本章では、ホームページの運用管理にかかる費用の勘定科目について解説していきます。
「サーバー費」の勘定科目

ホームページを公開するために欠かせないもののひとつに「サーバー」があります。サーバーには、ホームページ上のさまざまな情報を保存している機器。ユーザーは、サーバーを経由してホームページを閲覧できます。
サーバーは自社で購入するケースもありますが、レンタルするケースの方が多いでしょう。これらの「サーバー費」は、広告宣伝費として勘定科目を計上しても問題はありませんが、インターネット使用料などと同じように「通信費」として計上することもできます。
「ドメイン取得費」の勘定科目

ドメインもまたホームページを公開するうえで欠かせないものです。ドメインは、インターネット上の住所のことで、ホームページを閲覧できる状態にするためには、ドメインを取得する必要があります。あきばれホームページのサイトの場合だと「akibare-hp.jp」というのがドメインにあたります。
ドメイン取得費の勘定科目は、「通信費」「広告宣伝費」「支払手数料」3つのうちのいずれかになります。必ずこの勘定科目を使わなければいけないという決まりはありませんが、途中で変更しないようにだけご注意ください。
「SSL証明書取得費」の勘定科目

「SSL」とは、ホームページを閲覧しているユーザーが入力した内容を暗号化してデータを送信する仕組みのこと。自社のホームページを「常時SSL化(HTTPS化)」して、ブラウザとサーバー間の通信を暗号化しておくと、悪意のある第3者から個人情報やクレジットカードの情報などを守ることができます。
SSL化するために必要な「SSL証明書」の取得費用は、少額であれば通信費として計上することもできますが、高額になる場合はソフトウェアとして資産計上して、減価償却することもできます。
「SEO対策費用」の勘定科目

SEOとは、検索エンジン最適化を指す言葉です。Googleなどの検索エンジンでユーザーが検索した際に自社のホームページを上位に表示させるための施策です。SEO対策は、ホームページへのアクセス数を増やすことを目的に行われるものなので、SEO対策に関する費用の勘定科目は「広告宣伝費」となります。
中小企業ができるホームページ作成に関する節税方法

中小企業の場合、ホームページの作成にかかった費用が30万円未満だと損金として処理することができます。これは、ECサイトなど、ソフトウェアに該当するホームページであっても同様に適用されます。
損金というのは、法人税の計算をするときに益金から差し引くことができる費用です。損金として計上すると所得金額が減少するので、法人税を抑えることができます。
この特例は、青色申告法人である中小企業や農協協同組合、従業員数1,000人以下の企業に適用されます。ホームページを作成する際は、始めからこうした特例を利用して、30万円未満になるよう費用を調整して節税を狙うのもひとつの方法です。
ホームページ制作費用の勘定科目の決め方【徹底解説】会計処理の悩みを解決! まとめ

本記事では、ホームページ制作に関わる費用の勘定科目について解説しました。ホームページの制作費用の正しい勘定科目を知って、少しでも節税に繋がる方法で計上しましょう。
また、高額になりがちな企業サイトですが、自社でコツコツと更新して少しずつ大きく育てていけば、費用を抑えることもできます。たとえば当社【あきばれホームページ】の「初めてパック」では、WEBマーケティングのプロのサポート付きで初期費用 54,780円(税込)でご提供しています(月額費用 5,390円)。こうしたサービスを利用すれば、月々の負担を大幅に抑えることができます。
他にもニーズに応じてさまざまなパックをご提供していますので、ホームページを低額で制作したい方は、ぜひ一度ご検討ください。