ホームページでよく見るCookie(クッキー)とは? 同意したら危険なの? ウェブ初心者向けに徹底解説!
近年、大手企業のウェブサイトで、「Cookie(クッキー)の使用」に同意するかどうかを尋ねるポップアップが表示される機会が多くなりました。
「同意しても安全なのかな?」
「このポップアップは何のために表示されているの?」
「自社サイトにも設置したほうがいいの?」
さまざまな疑問をお持ちの方がいらっしゃることでしょう。そこで今回は、ウェブ初心者の方を対象に、Cookieに関する疑問に対して詳しく説明します。
Cookie(クッキー)とは?
Cookie(クッキー)は、ウェブページに訪れたユーザーの入力情報を、一時的にブラウザに保存する仕組みです。一部のSNSなどで見られる足跡機能のようなものです。
具体的には、CookieはIDやパスワードの保持や広告配信などのトラッキング技術に使用されます。(トラッキングとは、ウェブページを訪れたユーザーの行動やシステムの動作を把握することを指します。)
ウェブページを訪れると、自分の興味のある広告が表示されますよね。これは、ウェブページの運営者がユーザーの嗜好を把握するためにトラッキングを行っているためです。
Cookieの主な目的は、ユーザーとウェブサイト運営者でそれぞれ異なる側面があります。これについては、後ほど詳しくご紹介していきます。
キャッシュとCookieの違い
Cookieとよく混同されがちなものに「キャッシュ」というものがあります。アクセスしたサイトデータを一時的にブラウザに保存するブラウザキャッシュというものです。
サイトのデータが一時的に保存されるので、次にアクセスした際の処理速度が速くなり、サイトが素早く表示されるといったメリットがあります。
これだけ聞くとCookieとの違いがわかりにくいですよね。しかし、キャッシュとCookieには、実は明確な違いがあります。それは、キャッシュが「テキスト情報や画像データなどのウェブページの情報」を保存するのに対し、Cookieは「IDやパスワードなどユーザーがウェブサイト内で入力した情報」を保存する点です。
つまり、
キャッシュ=ウェブページの情報
Cookie(クッキー)=ユーザーの個人情報
というように保存される内容に明確な違いがあるのです。
Cookie使用についてなぜ同意を求められるのか?
Cookieの使用同意を求めるポップアップ。
よくある文言の例として、下記のようなものが挙げられます。
[Cookieを拒否する][Cookieを同意する]
こうした文言を見ると、個人情報が盗まれるのではないかと不安に感じる方もいらっしゃるようです。
日本ではCookie使用について同意を求める仕様になっていないサイトは多くありますが、欧州ではほとんどのサイトで「Cookieの使用」について同意を求めるポップアップが実装されています。
これには、2018年5月にEUで施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)の項目でCookie(個人情報)の利用に同意を求める要件が厳格化したことが背景にあります。また、国内においても2020年6月に改正個人情報保護法が成立したことにより、「Cookie使用の同意を求める仕組み」の導入を検討する企業が増えています。
Cookie使用の同意を求める理由は、プライバシーの保護が主な理由ですが、サイトの透明性を高め、信頼性を築く手段でもあります。日本においては、2023年9月時点でCookieの使用同意を求めるポップアップを設置することは義務付けられてはいません。
Cookieの種類
Cookieには、「ファーストパーティ」と「サードパーティ」の2種類があります。どちらも同じようにサイトを訪れた際に訪問者の情報を記録するものですが、Cookieを発行する相手に違いがあります。
個人情報を扱うCookieは、情報漏洩の観点から「どこ」がCookieを発行しているのかに注意を向ける必要があるでしょう。
ファーストパーティーCookie(1stParty)について
まずファーストパーティーCookieですが、これは「ホームページの運営側が発行」しているCookieです。ファーストパーティーCookieの目的は、ホームページに訪れたユーザーのログイン状態の維持や入力情報の保持、カート情報の保持などです。
ファーストパーティーCookieによって、ユーザーはホームページに簡単にログインできたり、ECサイトで欲しいものを保留にして後で購入できたりします。
サードパーティーCookie(3rdParty)
サードパーティーCookie(3rdParty)は、アクセスしたホームページと異なるドメイン(第三者)が発行するCookieです。サードパーティーCookieは、複数のホームページに訪問したユーザーの履歴を追跡し、そこから得た情報をさまざまなデータと紐付けるために使われます。
例えば、Amazonで買い物をすると、別のウェブサイトを訪問した時に似たような商品の広告が表示されることがあります。このような経験をした方は少なくないでしょうか。
これはサードパーティーCookieによって、別のウェブサイトにユーザー情報が共有されることによって起こります。このようにして表示される広告を「リターゲティング広告」と呼びます。
Cookieのメリット&デメリット
Cookieを使用することには、ユーザー側とウェブサイト運営側の両方にメリットとデメリットがあります。以下にそれぞれの側面から具体的なメリットを説明します。
ユーザー側のメリット&デメリット
1. ユーザーの使いやすさが向上するが…
Cookieを使用することで、ユーザーの好みや過去の活動に基づいてカスタマイズされたコンテンツや機能を提供できます。これにより、サイトの使いやすさが向上し、ユーザーはより関心のある情報を見つけやすくなります。
しかし、これをプライバシー侵害とだと不快に感じることがあります。
2. ログイン情報が記憶されるので時間が節約できるが…
Cookieを使用することで、ユーザーはログイン情報を入力することなくウェブサイトにアクセスできます。これは便利で時間を節約できる点です。
しかし、不正な攻撃を受けた場合、ユーザーの個人情報が漏洩する可能性もあります。また共用のパソコンを使用してIDやパスワードを入力すると、個人情報が残ってしまい、次に使うユーザーに知られてしまう可能性もあります。
共用パソコンで作業をした場合は、作業終了後に必ずCookieを削除しましょう。
3. ショッピングカートが保存され、買い物が便利に!
オンラインショッピングサイトでは、Cookieを使用してショッピングカートの内容を保存できます。ユーザーはショッピングを続けることができ、後でカートの中身を確認または購入することができます。
4. 興味のある広告が表示されやすいが…
Cookieはユーザーに関連する広告を表示するのに役立ちます。これにより、ユーザーの興味に合った広告を見ることができ、無駄な広告を減らすことができます。
しかし一部のユーザーは、自分の意志に反して広告やコンテンツが表示されることを不快に感じることがあります。
ウェブサイト運営側のメリット&デメリット
1. ユーザーの傾向を分析しサイト改善に役立てられるが…
Cookieを使用することで、ウェブサイト運営側はユーザーの行動や傾向を追跡し、分析することができます。これにより、どのコンテンツが人気であるか、どのページが訪問者にとって魅力的かなどの情報を収集し、サイトの改善に役立てることができます。
しかし、ユーザーがCookieの使用を拒否すると、データを収集しにくくなり、効果的な分析ができません。
2. ユーザーが必要とするコンテンツや機能を提供できる!
Cookieはユーザーのセッションを管理するために使用されます。これにより、ウェブサイト運営側はユーザーがサイト内でどのページを訪れ、何を行ったかを追跡し、適切なコンテンツや機能を提供できます。
3. 広告のクリック率を向上させられるが…
Cookieを使用して、ユーザーの興味に合わせた広告を表示することができます。これにより、広告のクリック率が向上し、広告収益が最適化されます。
しかし、Cookieを活用した過剰なリターゲティング広告は、ユーザーに不快感を与えてしまう可能性があります。
4. セキュリティ強化に役立つ!
Cookieはセキュリティ対策にも使用されます。セッション管理や認証において、セキュリティを強化し、不正アクセスを防ぐのに役立ちます。
閲覧時のCookieの設定方法
Cookieは適切に利用することでウェブサイトやSNSの閲覧の利便性を高める一方で、個人情報漏洩などのリスクもあるため、全てのCookieを受け入れる必要はありません。
しっかりと自分で判断してCookieを利用していくためにも、Cookieの有効化や無効化、削除の方法を理解しておきましょう。ここではGoogle ChromeでのCookieの設定方法をご紹介します。
Google ChromeでのCookie(クッキー)の設定方法
- Chromeが開いている状態で、右上のその他アイコン[設定]をクリックします。
次に[プライバシーとセキュリティ]の中の[サードパーティ Cookie]をクリックします。 - 「Cookieをすべて受け入れる」「すべてのCookieをブロックする」「シークレットモードでサードパーティのCookieをブロックする」「サードパーティのCookieをブロックする」のいずれかのオプションを選択し、Cookieの許可またはブロックを行います。
- Cookieを削除する場合、[閲覧履歴データの削除]から[Cookieと他のサイトデータ]を選択し、期間を選んで[データを削除]をクリックします。
自社サイトにもCookie同意バナーは必要なのか?
世界中で個人情報保護に関する法律や規制が設けられている中、企業における個人情報への意識も高まっています。日本では2022年4月から、改正個人情報保護法が施行されました。
これによりCookieをはじめとした「個人関連情報」の第三者提供の際、提供先で個人データとして取り扱われる可能性がある場合は、本人の同意取得が義務付けられました。
Cookieは「個人情報」ではないため、現状ではCookie同意バナーを設置する義務はありません。しかしCookieバナーの導入率は、2021年以降増加傾向にあります。
個人情報を扱っているウェブサイトでは、ユーザーの信頼獲得の観点から検討してみてもよいでしょう。
【まとめ】ホームページでよく見るCookieとは?
本記事では、近年見かける機会の多くなった「Cookie(クッキー)の使用」に同意するかを尋ねるポップアップについて解説しました。
ユーザーとウェブサイト運営者、双方にとってメリット・デメリットがあります。現時点では、国内において設置義務はありませんが、個人情報を取り扱うホームページを運営している方は、信頼獲得の観点から設置を検討してみてもよいでしょう。
まずはウェブサイトに関する知識を身につけて、適切に運営していきましょう。
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